街で必ず耳にするマクドナルドの「I’m lovin’ it」。
あのキャッチーなフレーズと「パラッパッパッパー」の音楽を聞いたことがない人はいないはず。
でも、このフレーズがいつから使われ始めたのか、どんな背景があったのかを知っている人は意外と少ないはず。
実は、このキャッチフレーズ誕生にはドラマチックな物語があったんです。
マクドナルドの歴史の中でも重要な転換点となったこのキャンペーンについて、詳しく調べてみました!
「I’m lovin’ it」が使い始められたのはいつ?
マクドナルドの「I’m lovin’ it」キャッチフレーズは、2003年9月から世界中で使用開始されました。
これは、マクドナルド史上初となる全世界統一の宣伝文句として導入されたものです。
それまでのマクドナルドは、各国でそれぞれ異なるキャッチフレーズを使用していました。
この時からグローバル展開を本格化させることになりました。
日本では2003年9月16日に正式にキャンペーンがスタートし、テレビCMや店舗で一斉に使用が開始されました。
当初は英語の原曲がそのまま使われていましたが、徐々に日本向けにアレンジされ、現在でもおなじみの「パラッパッパッパー」のサウンドロゴとして定着しています。
なぜマクドナルドは新しいキャッチフレーズが必要だった?
2003年は、マクドナルドにとってとても厳しい時期でした。
この年は株価が暴落し、会社が赤字に転落するという危機的状況に陥っていたのです。
製造過程でのさまざまな問題が発生し、消費者からのネガティブなイメージが強まっていました。
こうした状況を打開するため、マクドナルドは史上初となる世界規模のブランド戦略を展開することを決定しました。
ネガティブなイメージを払拭し、再びお客様に愛される企業になるために、全世界で統一されたポジティブなメッセージが必要だったのです。
このキャンペーンには莫大な予算が投じられ、複数の広告代理店からアイデアを募集するというホント格的なプロジェクトとなりました。
あの有名な「パラッパッパッパー」はどう生まれた?
実は「I’m lovin’ it」というフレーズは、最初からこの形だったわけではありません。
広告代理店のプレゼンで選ばれたのは、ドイツの代理店が提案した「ich liebe es」(ドイツ語で「I love it」の意味)というフレーズでした。
これが英語の「I’m lovin’ it」に変更され、さらに重要な要素として「バダバババ」という5文字の効果音が提案されました。
この特徴的なリズムを作るために、ジングル制作の専門家であるブッチ・スチュワートが起用され、現在でも世界中で親しまれている「パラッパッパッパー」のメロディーが誕生したのです。
キャッチフレーズ完成までの流れは次のようになります。
1. ドイツ語のフレーズから英語への変更
2. 5文字の効果音「バダバババ」の考案
3. 専門家によるキャッチーなメロディー制作
このように段階的に現在の形が完成していきました。
ジャスティン・ティンバーレイクはどう関わった?
「I’m lovin’ it」キャンペーンにさらなるインパクトを与えるために、当時絶大な人気を誇っていたジャスティン・ティンバーレイクが起用されました。
彼は、このキャンペーンのために制作された楽曲「I’m lovin’ it」をオリジナルシングルとしてリリースしたのです。
おもしろいのは、このプロジェクトが水面下で進められていたことです。
ジャスティンの楽曲が大ヒットした約1か月後に、マクドナルドは満を持して「I’m lovin’ it」のグローバルキャンペーンを正式発表しました。
この戦略的なタイミングにより、楽曲とキャンペーンの両方が大きな注目を集めることになりました。
彼の楽曲の冒頭で女性が歌う「パラッパッパッパー」の部分が、後にマクドナルドのCMで使われるサウンドロゴの原型となっています。
今でも愛され続けるキャッチフレーズの魅力
マクドナルドの「I’m lovin’ it」は、単なる宣伝文句を超えて、世界中の人々に愛されるフレーズとなりました。
2003年の危機的状況から生まれたこのキャンペーンは、企業の困難な時期を乗り越える力強いメッセージとして機能し、現在まで20年以上にわたって使われ続けています。
ジャスティン・ティンバーレイクとの協力や、音楽を効果的に活用したブランディング手法は、今でも多くの企業が参考にする成功事例と言えます。
私も街で「パラッパッパッパー」のメロディーを聞くたびに、このようなおもしろい背景があることを知って、改めてマクドナルドの戦略の巧妙さに感心してしまいます!